2021年3月3日

梅酒の基礎知識【歴史・ベース別特徴 編】

梅酒の基礎知識【歴史・ベース別特徴 編】

爽やかで甘みがあって、お酒初心者にもスンナリ飲みやすいといわれる梅酒。
実はベースとなるお酒によって風味や適した飲み方に違いがあるのはご存じですか?

今回は、ベースの種類による梅酒の違いについてご紹介します。

江戸時代から飲まれていた?梅酒の歴史

日本で梅酒がつくられていたことがはっきりと分かっているのは江戸時代から。

江戸初期に刊行された「遠碧軒記」という随筆や、江戸中期の「本朝食鑑」という本草書に梅酒づくりについての記載があります。
梅酒はそんなに古くから存在していたのですね。

梅の保存方法として広まった梅酒

梅は熟するとすぐに傷んでしまうので、ふつうは6月頃の青く硬い青梅のうちに収穫されます。
しかし青梅は渋味や酸味が強く、また青酸配糖体という毒素を含むので収穫したままでは食べることができません。

そこで、江戸時代頃から梅を保存する方法として、梅酒や梅干しといった形で加工されるようになりました。
ただし、当時は梅酒づくりに必要な砂糖が高価だったこともあって、一部の社会的地位の高い層の嗜好品だったようです。

江戸時代は日本酒ベースだった

現在は焼酎などの蒸留酒で漬け込まれることが多い梅酒ですが、当時は日本酒、それも3年以上貯蔵熟成させた古酒に漬け込むのが一般的だったとのこと。

江戸時代には、現在の焼酎のようなアルコール度数の高い蒸留酒がなく、酵母菌で醸造する日本酒は腐敗を防ぐために加熱処理がされていました。
当時はそれでも腐ってしまうこともあったようで、3年ほどの年を越し、腐敗の心配が少ない古酒が利用されていたんですね。

時代によって変化してきた自家製梅酒

江戸時代後期になると、梅を栽培する農家が梅を保存食としてだけでなく、加工販売するために梅酒づくりをしていたとみられています(そのように察せられる記述が当時の農業書「広益国産考」にあります)。

明治後期になると、酒税法の制定で自家醸造が一切禁止され、お酒は「酒税を支払って購入するもの」となりました。
しかし、1962年の再改正で「アルコール分20度以上、かつ酒税が課税済み」のお酒であれば、自宅で果実酒などをつくって楽しむことが認められるようになり、再び一般家庭でもつくられるようになったのです。

ベースのお酒で違う!梅酒の種類

梅酒のベース

このように古くから人々に親しまれてきた梅酒ですが、自家製梅酒を楽しむためには、アルコール分20度以上のお酒をベースとするのが条件となっています。
日本酒やワインのような醸造酒はアルコール度数が低いので、自家製の梅酒のベースは焼酎などの蒸留酒が主となります。

より腐敗の心配を少なくするには、アルコール分35度以上の蒸留酒がおすすめ。
またアルコール度数が高いほうが、梅の風味も抽出しやすくなるそうですよ。

初心者におすすめ♪ホワイトリカー(甲類焼酎)

もっともポピュラーな梅酒のベースは、糖蜜を原料とするホワイトリカー(甲類焼酎)
ほぼ無味無臭で梅本来の風味が際立つので初心者でも手軽に梅酒づくりが始められます。
同じ、無色透明のクセがない蒸留酒ということでウォッカなども梅酒づくりに適しています。

コクを出したいなら本格焼酎ベース

また、普段よく飲まれている焼酎といえば、麦・米・芋などを原料とし本格焼酎ともいわれる乙類が主流ですが、独特の味わいが人によっては梅の風味を損ねると感じることも。
ただし、ホワイトリカーでは味わえないコクがくせになるという人もいるようです。

コクを出したい場合は麦焼酎、爽やかに仕上げたい場合は米焼酎…のように、味比べをするのも面白そうですね。
梅酒に慣れたころにチャレンジしてみるといいかもしれません。
本格焼酎でつくる場合は、いずれも砂糖を少なめにするのがポイントです。

香りを楽しめるブランデーベース

ホワイトリカーよりも、まろやかで甘みやコクのある梅酒がつくれるのが、ブランデー
梅の芳醇な香りとも相性がよく、特有の刺激も緩和されます。

焼酎などがベースの梅酒は半年ほど熟成させるのに対し、ブランデーベースは3か月ほどで飲み頃になる点もおすすめ。
梅の風味が抽出されるので、高価なブランデーでなくても十分美味しくなります。
果実酒用のブランデーも市販されているので利用してみてもいいですね。

酸味がやみつきに!テキーラベース

甘みは少なめで、酸味がある梅酒が好みなら、おすすめはテキーラベース。

テキーラは蒸留したての無色透明のものと、熟成させゴールドがかった茶色のものがありますが、梅酒には無色透明のテキーラが最適です。
半年から1年ほど漬け込めば、とってもまろやかな味わいになりますよ。

甘みが活きる日本酒ベース

江戸時代には主流だったという日本酒ベースの梅酒。醸造酒のためアルコール分20度以上のものが少ないですが、梅酒用日本酒なども市販されています。
こちらも、漬け込んでから3か月も経てば飲み頃になります。
日本酒本来の甘みが活きて、口当たりがまろやかな奥深い味わいです。

スタンプ(ふむふむ)

梅酒別!飲み方のおすすめは?

梅酒の飲み方としては、ストレート・ロック・水割り・ソーダ割りなどがありますが、こちらもベースとなるお酒によって適した飲み方が違います。

ホワイトリカーベースはアレンジ自在!

ホワイトリカーをベースとした梅酒は、クセがなくフルーティな味わい。
ストレートにロック、ソーダ割りといった定番の飲み方はもちろん、ビールやハイボール、ジュースやアイスティーなどで割ってもおいしくいただけます。
さらに、ショウガやレモンなどとも相性がいいので、気分によって、いろんなアレンジをためしてみると楽しいかもしれません。

本格焼酎ベースならロックがおすすめ

本格焼酎ベースの場合は、特有のコクを楽しむためにロックで飲むのがおすすめです。

アルコールに弱い人は氷を砕いたクラッシュロックやソーダ割りでもいいですね。
また、バニラアイスに少しかけて食べるとアイスの甘さと梅酒のコクのハーモニーが楽しめます。

ブランデーベースはロックやソーダ割りで

ブランデーベースの梅酒は、梅とブランデー両方の香りが楽しめるようにロックやソーダ割りがおすすめ。

ソーダ割りは、たっぷり氷を入れたグラスに、梅酒の2倍量のソーダで割ると美味しくいただけます。
また、本格焼酎ベースと同じくバニラアイスにかけて食べたり、香りづけとして紅茶に少し加えてたりしてみてもいいですね。

ストレートで楽しみたいテキーラベース

テキーラベースの梅酒はアルコール度数が高めなので、お酒好きの人に。
ストレートやロック、ソーダ割りでも美味しくいただけますが、ストレートで少しずつ味わうのがおすすめ。

ストレートでも物足りないという人は、さらにテキーラを加え“追いテキーラ”にしてみてもいいかもしれません。

日本酒ベースは梅の実も美味しい

日本酒ベースの梅酒は熟成が早く、1か月から3か月で飲み頃になります。
自然な甘みを最大限味わえるように、ストレートやロックで飲むのがおすすめです。

また、漬け込んでから半年以内に梅の実を取り出しますが、これが、ほかのお酒で漬けた梅よりも格別に美味しいといわれています。
漬けた際には、ぜひ梅も食べてみてくださいね。

まとめ

梅酒といっても、ベースとなるお酒によって風味や飲み方はさまざま。
定番はホワイトリカーベースですが、焼酎やブランデー、テキーラなどの洋酒でも、それぞれの風味が活かされた深い味わいが楽しめます。

定番に慣れてきたら、ベースのお酒別に梅酒を飲み比べてみると新しい梅酒の魅力が発見できるかもしれません。手軽に飲みたい人は、いろいろな種類のお酒をベースにした梅酒も市販されているので、ためしてみてはいかがでしょうか。