あ〜
暑くなると、さっぱり酸っぱいものが欲しくなる〜!
ということで、今回は暑い季節におすすめの酸味が強いさわやかな梅酒をご紹介します。
とはいえ、ただご紹介するだけじゃ面白くないので、今回はちょっと意外な方法で梅酒を比較しながら特徴をお伝えしていきます!
珠玉の酸っぱい梅酒5本
『酸っぱい梅酒』と聞いて皆さんはどの梅酒を想像しますか?
酸っぱいというよりは、梅酒=甘いイメージの方が強いかな〜、という方もいらっしゃるかと思います。
そもそも梅酒はホワイトリカーからブランデー、日本酒、焼酎などベースとなるお酒も様々。
たくさん種類がある梅酒のなかから、さっぱり系が好きな方や甘さが苦手な方にもおすすめの梅酒を、梅酒屋 高田さんと相談しながらピックアップしました。
さっぱりだけでなく、酸味が前に出ているというところも選んだ重要ポイントです。
早速ですが、今回ご紹介する梅酒はこちら!
『すいうめ酒』に『すっぱい』って…
もうね、
名前からして既に酸っぱい!!
甘みが強くてどっしりした味わいの梅酒も好きですが、夏はさっぱり系の梅酒をソーダで割って楽しみたいので、測定が楽しくて仕方ありません!!
この中で、一番酸っぱい梅酒はど〜れだ!!!
正確に味を測るため秘密兵器を購入!
一番酸っぱい梅酒を選ぼうにも、人によって味覚は様々。
レモンを丸かじりできるツワモノもいれば、うす〜い輪切りレモン半分でも「こりゃ、すっぺーーーーーーーっ!」と感じる人もいます。
「味覚」は舌の味蕾が受容して、脳が感じるもの。
個人の味覚に頼るのはちょっとあてにならないので、測定器を2種購入しました!!
そう、
梅酒時間の本気の見せどころです。
今回、購入した製品がこちら。
株式会社アタゴの『ポケットpHメーター PAL-pH』と『ポケット糖度計 PAL-1』です。
ちなみに株式会社アタゴは、果物の“甘さ”(=糖度)を測るのに使われている屈折計が国内シェア約80%、世界シェア約30%を誇るトップ企業です。
今回は一番酸っぱい梅酒を探したいので、酸味の測定器だけで割り出そうかとも思いましたが、せっかく糖度計も購入したのでこちらの2つを使って【真のすっぱい梅酒】を数値で割り出していきます!
酸っぱいものが好きなので、ワクワクが止まりません!
酸味を測るポケットpHメーター PAL-pH
測定器のご紹介の前に、まずはpHについて。
pHとは水溶液が酸性かアルカリ性か、その程度を示す数値ですが、「ペーハー」と読んだあなた!
さては昭和世代ですね。
2012年以降に理科を学んだ、現在24歳以下の若者は「ペーハー」ではなく、「ピーエイチ」と習っているらしいです。
まさか梅酒時間でジェネレーションギャップを感じるなんて!びっくり。
そんなことはさておき、pHの数値は溶液中の水素イオン濃度 〔H+〕の量を表しており、日本語では「水素イオン指数」と訳します。
こちらの図でも分かるように、液体の酸性⇔アルカリ性は、その液体に溶けている水素イオン〔H+〕の量によって決まります。
中性を境に、水素イオン濃度が高いと「酸性」になり、濃度が薄くなると「アルカリ性」に傾きます。
『ポケットpHメーター PAL-pH』は、割れにくい電極を搭載した安心安全、少量サンプルで測定可能な滴下型のpH測定器です。
食品・飲料だけでなく、土壌・水溶性切削油・アルカリ系洗浄液など幅広く活用できます。
しかもコンパクトで軽い!
こちらの測定器には、pH9.18、pH6.86、pH4.01の校正用標準液が3種類付いていました。
まずは梅酒計測の前に、こちらの校正用標準液を使って正確な数値が出るかを確認します。
①測定器本体右上のサンプルステージにpH9.18の校正用標準液を適量垂らす
②STARTボタンを押す
③本体中央の液晶画面に「9.18」が表示されたらOK
pH6.86、pH4.01も同様に垂らして正確な測定ができるかをみていきます。
お次に、もう1台の測定器について。
糖度を測るポケット糖度計 PAL-1
『ポケット糖度計 PAL-1』はプロユース製品で、デジタル糖度計で一番売れているモデルで、食品から工業まで幅広く使用されています。
農家さんや食品メーカーさんなどが購入して使用しているようです。
熱々のスープや粘土の高いジャムなども計測できるスグレモノ!
メモリを覗いて数値を測る糖度計もありますが、こちらはデジタル式なので読取り誤差はなく、操作も簡単。
製品の品質を証明する「校正成績表」が付属されていて、校正を担当した責任者のお名前や顔写真までしっかり掲載されています。
自信と信頼感が半端ない。
ポケット糖度計 PAL-1の測定範囲は、Brix(ブリックス)値 : 0.0~53.0%です。
そもそも、Brix(ブリックス)値とは?
Brix(ブリックス)値は、主に食品産業のワイン、精糖、果実農業などで、ショ糖(いわゆる砂糖)、果糖、転化糖、ブドウ糖など、いわゆる糖の含有量を測るために、糖度として用いられる物理量です。
水100gの中に10gのしょ糖が溶けている液体のBrix(ブリックス)値は10%で、この数値が高ければ高いほど糖度が高くなります。
さらにBrix(ブリックス)値の計測には光の屈折率を利用しています。
光は水や空気中をまっすぐ進みますが、液体に糖分が溶け込んでいると透過した光が屈折します。
参考にこちらをご覧ください。
水道水に砂糖を10g混ぜた砂糖水が左で、30g混ぜたものが右です。
う、う〜ん。
ご覧くださいと偉そうにお伝えしましたが、なんとも微妙な差…。
正直思ったよりも変化が出なかったのが残念ですが、濃度が濃くなると入射角と屈折角に差が出るのが分かります。よね!
ここは、
ふ〜ん、そうなんだね〜くらいで大丈夫。
さて、長々と測定器の説明をしてしまいましたが
いよいよ梅酒の測定です。
酸っぱい梅酒測定スタート
まずは『毘沙門福梅』から測定スタート。
測定器のサンプルステージにスポイドで梅酒を垂らします。
梅酒の量が少ないとうまく数値が出なかったので、やや、なみなみと。
次に、液晶画面の下にあるSTARTボタンを押す。
すると…
はい、見事に「32.6」が液晶に表示されました!
あっという間にpH測定終了です。
いや〜簡単。
続いて、
糖度計に切り替えて、同じ要領で測定していきます。
こちらもスポイドで梅酒をそっと垂らします。
こちらも、簡単に糖度が測定できました!
毘沙門福梅【大阪:株式会社河内ワイン】
福梅シリーズでおなじみの超熟成梅酒に、若い状態の熟成途中のタンクをこの為だけに開け、希少な青梅の果汁とブレンドした『毘沙門福梅』。
心地よい酸味とほんのり渋みがクセになる、ブランデーベースの酸っぱい美味梅酒です。
- アルコール度数:12度
- アルコールタイプ:ブランデーベース
- 原料:梅、砂糖、醸造アルコール、ブランデー、梅果汁(国産100%)
- 酸味:3.26pH
- 糖度:27.6°Bx
- 価格:720ml 1,980円(100mlの価格:約275円)
- 商品詳細はこちら
酸味のpHと甘みの糖度が数値化されるのが新鮮で面白い!
この調子でどんどん測定していきますよ!
続いてはこちら!
梅香 百年梅酒 すっぱい完熟にごり〈水色ラベル〉【茨城:明利酒類株式会社】
流石にごり梅酒。
サンプルステージにもすりおろした梅果肉がたっぷり!
百年梅酒シリーズ最大の特徴でもあるブランデーベースの濃厚でとろりとした食感。
完熟梅の華やかさはそのままに甘酸っぱさを兼ね備えた欲張りな1本。
梅果肉をすりおろし梅エキスを贅沢に21%配合した、にごり梅酒です。
- アルコール度数:11度
- アルコールタイプ:ブランデーベース
- 原料:梅実、梅果肉、糖類、醸造アルコール、ブランデー、蜂蜜
- 酸味:3.31pH
- 糖度:25.6°Bx
- 価格:720ml 1,728円(100mlの価格:約240円)
- 商品詳細はこちら
すいうめ酒【和歌山:株式会社吉村秀雄商店】
完熟南高梅を贅沢にたっぷり使用。
甘い梅酒が苦手な方におすすめ!
酸味、香り、旨みが絶妙なバランスを奏で、一体となった飲みごたえのあるDRYな梅酒。
梅のエキスも濃く、ただの甘ったるい梅酒とは一味も二味も違います。
- アルコール度数:13度
- アルコールタイプ:日本酒ベース
- 原料:梅(和歌山県産)、醸造アルコール、糖類、日本酒
- 酸味:3.28pH
- 糖度:18.2°Bx
- 価格:720ml 1,254円(100mlの価格:約174円)
鶴梅 すっぱい【和歌山:平和酒造株式会社】
紀州・和歌山産の完熟南高梅の中でも最高産地とされる南部(みなべ)の梅を中心に贅沢に仕上げた逸品。
酸度は普通の「梅酒の2倍」と聞くとめちゃめちゃすっぱいのではと思われるかもしれませんが、そこまで酸っぱすぎず、甘さを抑えてちょうど良い梅酒。
- アルコール度数:11度
- アルコールタイプ:日本酒ベース
- 原料:南高梅(和歌山県産)、日本酒(国内製造)、糖類
- 酸味:3.32pH
- 糖度:19.4°Bx
- 価格:720ml 1,320円(100mlの価格:約183円)
- 商品詳細はこちら
お次が最後!
京都梅酒【京都:招徳酒造株式会社】
京都産の青梅と丁寧に醸した純米酒で仕込んだ梅酒。
砂糖を極力控えて、米本来の甘みで梅のエキスを引き出すという高度な技術を用い、ベタつきがなくスッキリとした飲み口。
梅の酸味と甘味をギュッと濃縮したような濃厚で上品な味わいが特徴です。
- アルコール度数:10度
- アルコールタイプ:日本酒ベース
- 原料:純米酒(京都府産)、梅、蔗糖
- 酸味:3.35pH
- 糖度:20.8°Bx
- 価格:720ml 2,145円(100mlの価格:約298円)
- 商品詳細はこちら
5種類の酸っぱい、すっきり系梅酒の測定が終了しました!
梅酒測定結果発表!
さぁ、こちらをご覧ください。
縦軸が酸味を表すpHで、横軸が糖度です。
数字では少し分かりにくかったので測定結果を表にしてみました。
意外や意外。
こちらの表を見てみると、酸味はそこまで差がないですね。
ほぼ横ばいで、これぞ、どんぐりの背比べ状態。
しかし、糖度にばらつきがあることが明確に分かります。
5種類に絞った中での結果にはなりますが、個人差の出る味覚を頼らず2台の測定器を使った結果、酸味(pH)が強く糖度が低い梅酒は、平和酒造株式会社の『鶴梅 すっぱい』であることが判明しました!!
2番目が『すいうめ酒』、『京都梅酒』、『梅香 百年梅酒 すっぱい完熟にごり〈水色ラベル〉』と続いて、この中で最も糖度が高かったのが『毘沙門福梅』でした。
たまたまかもしれませんが、日本酒ベースのものは糖度が低く、ブランデーベースは若干高い結果となりました。
まとめ
酸っぱい梅酒を求めて、2種の測定器を使って調査してみましたが、pHの値はほぼ変わらないことが判明。
酸っぱさや、さっぱりの決め手は「酸味」の強さではなく「糖度」の高さの方が重要であることがわかりました。
まさに目からウロコ!
酸味だけで比較していたらこうはなりませんでした(危うくお蔵入り…)。
舌で感じる味覚は、同時に香りや別の風味も比較できますが、酸味と甘味を感じるタイミングの誤差や、個人差があるので、実際試飲しての主観的なランキングは違う結果だったかもしれません。
反対に測定器を使えば限りなく同じ条件で比較できるので、いわば正しい順番であるともいえるでしょう。
まさに、測定器バンザイ。
次回はこちらの測定器を使って、酸っぱいとは別軸の梅酒も調べてみるのでお楽しみに!
この記事を書いた人:小松
飲食に異常な興味を示すことを買われ、梅酒時間の編集に携わることになったディレクター兼デザイナー。高知出身で梅酒に限らずお酒全般が好き(決して、強くない)。週末に半日かけて料理をすることが楽しみ。