あなたは甘さ控えめのさっぱり系の梅酒が好きですか?
それともこっくり甘味の強い梅酒でしょうか。
「梅酒」と聞いて「甘いお酒」とイメージする方も多いのでは。
実際、【梅酒】【甘さ】の2つのキーワードでGoogle検索してみると、関連性の高いキーワードとして以下の内容が出てきました。(Googleさんありがとう)
【A】
- 梅酒 甘すぎる
- ウイスキー 梅酒 甘さ控えめ
- 梅酒 甘さ控えめ 市販
- 梅酒 甘さ控えめ おすすめ
- 梅酒 甘さ控えめ 自家製
【B】
- 甘い梅酒 作り方
- 梅酒 作り方 甘め
- 梅酒 甘みが足りない
【A】は甘さ控えめの梅酒を求めている人で、【B】が梅酒に甘さを求めている人だということが分かります。
梅酒を選ぶ基準は人によって様々ですが、やはり、梅酒の甘み・糖度は重要な決め手になります。
前回に引き続き、今回もpH(酸味)を測る『ポケットpHメーター PAL-pH』と、糖度を測る『ポケット糖度計 PAL-1』を用いて梅酒を調査していきます。
※測定器の詳しい内容は、前回の記事をご覧ください。
『酸っぱいさわやか梅酒を飲みたければ、酸味よりも糖度で選ぶべし!』
甘さ控えめといわれている梅酒と、甘味の強い梅酒。
果たして測定器を用いるとどんな結果になるのか!!
甘さ控えめ&甘味たっぷり梅酒
選んだ梅酒はこちらの6本!
梅酒屋 高田さんに協力していただき、甘さ控えめといわれている梅酒3本と、甘味が強い梅酒3本を準備してもらいました。
こうして並べてみると、甘さの強弱はさておき、どの梅酒も美味しそう…。(元も子もない)
片っ端から飲みたくなる気持ちを抑えて、まずは、甘さ控えめの3本から測定開始。
甘さ控えめで飲みやすい梅酒
こちらは、梅酒屋さんで「甘い梅酒は得意ではない」というお客様にもおすすめしている、「甘さ控えめ梅酒」のリストからピックアップさせてもらいました。
紅茶梅酒にパッケージからも味のキレを感じる梅酒までどれも個性的です。
では、1本ずつ糖度とpH(酸味)を測定していきましょう。
まずは『ちえびじん紅茶梅酒』から測定スタート。
紅茶梅酒ということで赤みも強く、紅茶のよい香りがふんわり漂います。(早いとこ飲みたいが本心…)
測定器のサンプルステージに梅酒をスポイドで運んで、スタートボタンを押すと…
糖度 16.3°Bx!
さすが、甘さひかめ梅酒。糖度が低い!!
続いてpH(酸味)も測定していきます。
酸味は数値が少ないほうが酸っぱいので、3.51pHの『ちえびじん紅茶梅酒』は、そこまで酸味が強くないタイプです。
ちえびじん紅茶梅酒【大分県:有限会社中野酒造】
大分産南高梅で仕込んだ本格梅酒とブランデーをブレンドした深い味わい。
上品な紅茶の香りが心地よく、ブランデーと紅茶が梅酒の風味をより引き立ててくれます。
アルコール度数も低く飲みやすい梅酒。
- アルコール度数:7度
- アルコールタイプ:ブランデーベース
- 原料:紅茶、梅酒、ブランデー、糖類
- 酸味:3.51pH
- 糖度:16.3°Bx
- 価格:720ml 1,320円(100mlの価格:約183円)
- 商品詳細はこちら
幸先よく、糖度が低い梅酒が出てしまいましたが、2本目はどうでしょうか。
お次は『東光 吟醸梅酒』です。
『東光 吟醸梅酒』は少し味に特徴があって、梅酒屋さんでは日本酒を好んで飲まれる方にオススメされている梅酒です。
糖度30.5°Bx。
前回測定した酸っぱいシリーズの平均値22.3°Bxに比べてもちょっと高め。
東光 吟醸梅酒【山形県:株式会社小嶋総本店】
2012年天満天神梅酒大会 梅酒部門 優勝。
透明感がありながら濃厚な梅の旨味を感じる画期的な梅酒。ラフランスのような香りが素晴らしい梅酒。
口当たり柔らかく香り高い吟香が特徴。
- アルコール度数:11〜12度
- アルコールタイプ:焼酎ベース
- 原料:本格焼酎、梅、砂糖
- 酸味:3.24pH
- 糖度:30.5°Bx
- 価格:500ml 1,650円(100mlの価格:約330円)
- 商品詳細はこちら
酒粕に含まれる米の甘みがや酵母の旨みが甘みとなって出てきているから糖度が高いんでしょうね。
測定後に味見をさせてもらいましたが、飲み口はキリッとすっきりしてました!
糖度が高い=甘味が強いとは一概にいえないようです。
甘さ控えめ梅酒の最後は『うぐいすとまり 鶯とろ』です。
こちらも糖度高めかしら?…と、ちょっぴりドキドキ。
ほっ。
糖度 26.6°Bxならそこまで高くない。
うぐいすとまり 鶯とろ(おうとろ)【福岡県:合名会社山口酒造場】
2011年天満天神梅酒大会 梅酒部門 優勝。
本格焼酎(粕取り焼酎・米焼酎)をベース漬けた梅酒『うぐいすとまり』に、梅果肉をブレンドした本格にごり梅酒です。
本格焼酎ベースならではの余韻ある旨味、しっかりとした酸と、とろとろ感を調和させたまさに特撰梅酒。
- アルコール度数:12度
- アルコールタイプ:焼酎ベース
- 原料:単式蒸留焼酎(国内製造)、梅、砂糖、醸造アルコール
- 酸味:3.27pH
- 糖度:26.6°Bx
- 価格:720ml 1,628円(100mlの価格:約226円)
- 商品詳細はこちら
にごり酒でこの数値はさっぱり目ですが、1番目に測定した『ちえびじん紅茶梅酒』の【16.3°Bx】はやはり最強。
糖度控えめ、それでいて紅茶のほのかな苦味が心地良く、梅の風味+アクセントにブランデー…。
さらにリーズナブル!!
そりゃ人気が高いわけだ。
甘いのはちょっと、という方に是非飲んでいただきたい梅酒です!
糖度とあわせて、pH(酸味)も測ったのでグラフにしてみました。
縦軸が酸味を表すpH(酸味)で、横軸が糖度です。
甘さ控えめの3本でしたが、『東光 吟醸梅酒』が意外と糖度高めでしたね。
ただ、糖度は高めでも実際に飲んだときにはそこまでの甘さを感じなかったんですよ。
料理に使用している調味料もだいたい当てられるので、舌バカではないはず!(どんな自信…)
やはり舌で味わう味覚は複雑です。
さて、お次は甘党の方、お待ちかねの甘みが強いおすすめ梅酒3本です。
こっくり甘みが癖になる、甘味たっぷり梅酒
大黒さんに、花札に大入り。
なんとも愛らしい梅酒3本です。
甘味たっぷりということで期待が高まりますね!
大黒さんがキュートな『大黒福梅』から測定してみましょう。
黒糖入りでなかなか濃いお色。
あれ?
ここでトラブル発生!
スタートボタンを押しても数字が出なくなりました。
やっばっ!
説明書を読んでみると、周りの光に影響されてエラーがおこることがあるそうです。
梅酒を入れたサンプルステージをちょっと手で覆ってから、再度スタートボタンを押してみました。
あ〜良かった!!
この測定器はうん万円するんでね、内心焦りました。
大黒福梅(だいこくふくうめ)【大阪府:株式会社河内ワイン】
20年以上熟成させたブランデーベースの梅酒。
香り高いブランデーと梅のコクのある香り。
口当たりは意外とスッキリとしていますが、コクと旨みがしっかりしていて、とても味わい深い梅酒。
- アルコール度数:12度
- アルコールタイプ:ブランデーベース
- 原料:梅(国産)、砂糖、醸造アルコール、ブランデー、黒糖(国産100%)
- 酸味:3.57pH
- 糖度:29.4°Bx
- 価格:720ml 1,540円(100mlの価格:約214円)
- 商品詳細はこちら
さすが、ブランデーベースの大黒さん。
黒糖も入っていて、糖度が高いかと思ってましたがそこまで高くはなかったです。
是非ともロックで味わいたい!
甘味たっぷり梅酒2本目は、奈良の『月ヶ瀬の梅原酒』です。
『大黒福梅』に比べると色も薄く、見た目はそこまで甘い印象がなかった『月ヶ瀬の梅原酒』。
先程エラーが出たので、若干の緊張が走ります。
スタートボタンをポチッと。
な、なんですと!?
一瞬、目を疑いましたが紛れもなく【糖度 43.0°Bx】。
いや〜さすが原酒。
月ヶ瀬の梅原酒【奈良県:八木酒造株式会社】
『月ヶ瀬の梅原酒』は、梅独特のジューシーな甘みを表現したくて、あえて割り水をせず原酒の状態で瓶詰めしています。
酒蔵が原材料に徹底的にこだわった渾身の梅酒。
- アルコール度数:20度
- アルコールタイプ:焼酎ベース
- 原料:月ヶ瀬青梅(エキス分38%)、焼酎乙類、糖類
- 酸味:3.29pH
- 糖度:43.0°Bx
- 価格:720ml 2,618円(100mlの価格:約364円)
- 商品詳細はこちら
何度もいいますが、糖度が【43.0°Bx】。
一切の割り水も濾過もしていないからこそのこの数値が出たんでしょうか。
アルコール度数20%、エキス分が38%で間違いなく超高濃度といえる梅酒でしょう。
オンザロックで慈しむように、ゆっくりじっくり味わいたい梅酒です。
続いては、最後の1本『大入りにごり梅酒 濁濁 ~極~』。
見た目から梅果肉が濃いことが分かります。
しかし、糖度は26.7°Bxとやや低めでした。
にごり梅酒なので、これは高い数値を弾き出すのでは?と期待してましたが、そこまで高くないですね。
大入りにごり梅酒 濁濁 ~極~(だくだくきわみ)【兵庫県:西山酒造場】
こちらの『大入りにごり梅酒 濁濁 ~極~』の特徴は、なんといっても梅果肉が45%も入っているところ。
果肉、とろみ、酸味、香り、すべてが大入りの贅沢梅酒。
完熟梅がジューシーで甘く、まるで桃のようなフルーティーさがあり、梅の酸味がキュッと締めていてとても飲み心地の良い味わいです。
- アルコール度数:10度
- アルコールタイプ:清酒ベース
- 原料:醸造アルコール(国内製造)、梅(国産)、糖類、清酒(小鼓)
- 酸味:3.27pH
- 糖度:26.7°Bx
- 価格:720ml 1,540円(100mlの価格:約214円)
- 商品詳細はこちら
梅果肉が45%って相当ですよ。
ネクターピーチと同じくらいのとろとろ加減です。
『大入りにごり梅酒 濁濁 ~極~』の糖度はそこまででしたが、酸味がやや強めで飲みやすい印象でした。
その飲みやすさからグビグビいっちゃいそうでちょっぴり怖い…。
3本の甘党さんにもおすすめの梅酒をご紹介しましたが、こちらも糖度とpH(酸味)をグラフに落とし込んでみます。
『月ヶ瀬の梅原酒』がずば抜けて糖度が高いことが分かります!!
ここまで大差がつけられるとは、あっぱれ!
2軸で測定した梅酒を比較
甘さ控えめ梅酒と、甘味が強い梅酒をすべて同じグラフにまとめてみました。
甘さ控えめと、甘味が強い梅酒は左右で分かれるだろうなと期待してましたが、結果は違っていました。
分かりやすくするためにグラフをちょこっと改良。
甘さ控えめが黄緑で、甘味が強い梅酒がピンクです。
同じ梅酒のカテゴリーなので、pH(酸味)の差はほぼないですが、糖度はかなりバラついてますよね。
『東光 吟醸梅酒』にいたっては、甘さ控えめでオススメしたにもかかわらず、甘味が強い梅酒を追い抜いてしまいました。
ある意味、面白い結果が出たともいえるでしょう。
まとめ
測定器を使って比べてみた結果、最も甘さ控えめの梅酒は『ちえびじん紅茶梅酒』で、甘味が強い梅酒は『月ヶ瀬の梅原酒』であることが判明しました。
それぞれの1位の数値はズバ抜けていましたが、それ以外の梅酒は糖度もpH(酸味)も案外近い数値になりました。
甘さが苦手な人と強い人に差があるので、甘さの指標になればと思い測定器を用いてみましたが、いくら数値が正確だとしても、その数値だけでは梅酒の奥深さは測れないということです。
これぞ、元も子もない!
測定器を使った比較が、梅酒を選ぶ際に少しでも参考になれば幸いです。
この記事を書いた人:小松
飲食に異常な興味を示すことを買われ、梅酒時間の編集に携わることになったディレクター兼デザイナー。高知出身で梅酒に限らずお酒全般が好き(決して、強くない)。週末に半日かけて料理をすることが楽しみ。