2021年6月25日

レトロボードゲーム「花札」から見る梅酒ラベル-八木酒造-

レトロボードゲーム「花札」から見る梅酒ラベル-八木酒造-

「花札」って?

花札とは、さまざまな花の絵柄が描かれている札のことで別名では「花かるた」と言われています。ざっくりと言えばかるたのようなカードゲームです。今の流行で言うならボードゲームの一種、といったところでしょうか。

1月〜12月の季節に合わせた絵柄が1月に4種類あり、遊び方にもよりますが4種のカードにはそれぞれ絵柄に合わせて強さがあったりもします。(1点×2、5点、10点)代表的な遊び方は、2人で遊ぶ「こいこい」、3人で遊ぶ「花合わせ」、などがありますが、他にもいろいろ地域によってあるそうで、花札のように日本全国に普及したカードゲームたちは各地で様々なローカルルールを生み出したり、またそれも海外に形を変えて広がっていった歴史もあるんだとか。

「花札」って、一言で言っても知れば知るほど、歴史や文化の話がたくさん出てきます。

「花札」をラベルにした梅酒がある

花札と梅酒
花札梅酒シリーズ

そんな奥深い「花札」を梅酒のラベルに使ったのが、この花札梅酒シリーズ。こちらは奈良県奈良市高畑町にある八木酒造さんのアイテムです。
梅の花が咲く季節、2月の花札〈梅〉の図柄が使われているのが、この4種類の梅酒で、写真にある商品を説明すると、左から

  • 花札の梅酒
  • とろとろの梅酒
  • 赤短の梅酒
  • 月ヶ瀬の梅原酒

よく見ると、とろとろの梅酒と赤短の梅酒は、瓶の腹部に貼ってある所のラベルは同じ花札の絵柄のものです。花札だけでみても可愛らしいくどこか懐かしい並びにも感じます。

ただ、味はそれぞれに特徴のある味わいとなっています。

  • 花札の梅酒…シンプルですっきりとした味わい。
  • とろとろの梅酒…とろみがあり酸味甘味のバランスが良い味わい。
  • 赤短の梅酒…コクがあり梅のエキスを感じる味わい。
  • 月ヶ瀬の梅原酒…甘く余韻が長い味わい。

これほど違うと、花札梅酒飲み比べも楽しいかも…!

花札ラベル誕生秘話

花札ラベル誕生秘話

それぞれに味も特徴的な花札梅酒シリーズは、いかにして生まれたのか。
この商品が誕生した「梅酒屋」さんにインタビューしました。

花札シリーズでまず最初に商品化したのは「月ヶ瀬の梅原酒」なんだとか。
奈良県奈良市高畑町にある八木酒造で、「月ヶ瀬の梅酒」が販売されていたことが最初にきっかけになったんだそう。

またお気づきかもしれないが、この当時出会った月ヶ瀬の梅酒、ではなく、現在販売されているのは月ヶ瀬の梅「原酒」

「原酒」として商品化するようにになったのも、花札のラベルに変える際に、原酒の方が梅エキスの濃厚で芳醇な味わいを表現できるのではないかという観点から商品開発して作られていったそうです。

花札でもこの図案を使ったのにも意味がありそうですね。

そもそも花札をラベルにしようと思ったのは、その頃のお酒のラベルといえばどれも筆文字の地味で可愛いさとはほど遠いラベルばかりだったので、逆に筆文字を一切使わない、図柄だけのラベルがあっても良いよね!?から始まりだったんだとか。

また、ラベルデザインにもこだわりがありました。
花札の良さを表現するために、”手にとってみたくなるような風合いや質感を重視し手でちぎる和紙に手書きイラストと文字”、というアナログなデザインに、”一枚一枚酒蔵さんの手で貼る”、というまさに【アナログの極み】のデザインとなっています。(※写真参照)

今となっては酒蔵の考え方も多様になって、ラベルも様々なラベルが出ていますが、当時は2003年。今から約19年前のことです。ここまでアナログなラベルがあるのか、、それはそれで調べてみたくなりますが。。

商品化で一番苦労したのは、当時の販売だったんだとか。
まだ居酒屋さんでも「梅酒」はメニューにあるかないかの時代。大手メーカーよりも高額の「月ヶ瀬の梅原酒」を取り扱っていただくことはかなり高いハードルだったんだそう。

酒屋ストーリーもさらに奥深いストーリーがありそうです。。

しかし、今では海外にも渡り、人気商品となっています。
歴史のある「花札」という図案だから出せる世界観を、商品とともにロングセラーになった理由がここにあるかもしれません。

まとめ

花札やかるたは今ではあまり遊ばれることは少ないかもしれません。でも改めて「花札って?」を知ってみると、海外のトランプ要素が変化した海外からのつながりがあるものだったり、「花札」のことを知るだけで、歴史的なこともその時代のこともいろいろ見えてくるものがあります。

ロングセラーの理由や、その梅酒が生まれるまでのストーリーを知ると、また梅酒の見方も変わるのではないでしょうか。

花札での遊びも、今でいうボードゲームというジャンルに形を変えて愛されているように思います。

ちょっと花札で遊んでみよう、その時にはこの花札梅酒を片手に遊ぶのも大人の楽しみ方の一つかもしれません。


この記事を書いた人:高田 詩織
酒屋でお酒に日々ふれるアラサー女子。お酒の魅力や奥深さを日々感じています。目指すネタは「梅酒の概念を変えるもの」。知ってたことも知らなかったことのように感じていただけたらと思います!