2021年9月17日
107年の歴史のはじまりは葡萄農家から。チョーヤ梅酒株式会社さんが語る、「チョーヤが梅にこだわる理由」。
「酔わないウメッシュ」のフレーズは、聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。
梅酒市場においてトップシェアを誇るチョーヤ梅酒株式会社(以下、チョーヤさん)は、大阪府羽曳野に本社を構える、創業107年の酒造メーカーです。
酸味料・香料・着色料などの食品添加物を使用せず「梅・糖類・酒類」のみを使用した「本格梅酒」として愛され続けるチョーヤさんの広報担当・管理担当・梅のガク取り担当の方に、今回特別にインタビューさせていただきました!
チョーヤさんが梅酒にこだわる理由
-1分で分かるチョーヤさんの歴史を教えてください。
チョーヤは、1914年に大阪府羽曳野市で葡萄農家として創業しました。
ワインやブランデーの製造を経て、創業から約45年後の1959年に梅酒づくりをスタート。
そこから支店を東京や海外など各地に拡大し、2014年には創業100周年を迎え、CHOYAが梅酒の代名詞になるように日々精進しています。
-もとは葡萄農家だったのですか?
はい。
当初は葡萄農家を営み、その後葡萄農家からのワインの製造を手掛けていましたが、当時ワインはフランスなど海外が本場でしたので、日本独自のお酒を模索していました。
当時「国内であまり手掛けられていないもの」「身近で親しみやすいもの」「海外には無い日本独自のもの」はなんだ?と考えた結果、梅酒にたどり着きました。
-そこから約60年間、梅酒を貫き続けている理由は?
ここまで続けてこれたのは「梅」の魅力と大きな可能性を信じているからです。
梅に関しては、農家の方々と共に土づくりから関わらせていただき、毎年熟度が高く、香り豊かな梅酒に適した梅を厳選しています。
良い梅は良い大地からと考えていますので、チョーヤの梅酒は美味しいと胸を張って言うことができます。
梅酒は、古くから各家庭で漬けられ、愛されてきた馴染み深い飲み物です。
梅酒が守ってきた、人々の健康・味・伝統文化を、現代に足並みを揃えながら後世に伝えていくべく、私たちチョーヤは梅・梅酒にこだわり続けます。
-本格梅酒がじわじわと伸びてきている様子ですが、率直なお気持ちを教えてください。
チョーヤが長年取り組んできた、酸味料・香料・着色料などの食品添加物を使用しない「本格梅酒」が注目されていることは、大変うれしく感じています。
梅はもっと注目されてもいい素材ですし、まだまだ大きな可能性を秘めた果実ですので、「梅の質・使用する梅の量・最適な熟成」をコンセプトに、より一層、皆さまに喜んでいただける製品開発に取り組んでいきます。
-企業理念を従業員の方々へ浸透するように工夫していることは?
「文化継承・産農一体・イノベーション・グローバリゼーション」という企業理念や経営方針はグループウェアや社内報などで共有しています。
しかし、人づてに聞くよりも現地に行って、空気や匂いを感じる方が伝わるので、できる限り和歌山をはじめとした産地に出向き、梅にたずさわる方々のお話しを直接聞いてもらうようにしています。
-働き方について、何か取組んでいることは?
チョーヤでは、性別を問わない人材の登用、またこれを可能にする設備や勤務時間などを含む職場改善や教育訓練に注力しています。
工場においては、標準化が非常に大切な要素ですが、梅・梅酒のリーディングカンパニーとして専門知識を持った専任スタッフが必要であるという一面もあります。
-複数の工場ならではの特色やビジョンはある?
各工場は、チョーヤとして共通したビジョン・理念の基、運営しています。
大阪川向工場は本社に近く、梅の漬け込みや小ロット製品、梅酒以外の製品の仕込み作業を行っています。
伊賀上野工場は漬け込み工程の他、数多くの製品の充填を担っており、和歌山県の紀州工場では産地に近いという立地を生かして、より熟度の高い梅を漬け込むなどの特色を持たせています。
チョーヤの工場で働くひとの本音
関西に3つの工場を持つチョーヤさん。
商品コンセプトによっては、旬である6月以外に漬け込むこともあるそうですが、ほとんど6月に漬け込み、約1年以上じっくりタンクで熟成させるそう。
そこから、
- 熟成された梅酒を必要に応じてタンクから取り出す
- 瓶詰めにあわせてブレンド
- 充填工程に供給
という流れになります。
この熟成からの流れを毎日見守り、品質が落ちないように検査している工場の人々にお話をお聞きしました。
工場では、世界に美味しい梅酒を届ける為にたくさんの人々の細かな気配りや努力が見られました。
梅酒の味を守る!管理担当者さんのお仕事について
-酸味料や香料無添加だと味に違いが出そうだけど、統一感はどうだしているの?
梅酒(原酒)は、年はもちろん、品種や産地、熟度によってタンク毎に味が異なります。
工場では、400基以上の原酒タンクを保有しているので、それぞれ特徴のある原酒をブレンドすることによりブランド毎の味わいを作っています。
厳密にいうと、各ロットでわずかながら風味の違いは出てしまいますが、これもチョーヤならではのお楽しみとして、味わっていただければ幸いです。
-味が統一になっているかの確認はしているの?
梅酒の漬け込みをした後の各工程で、チョーヤの品質管理担当が官能検査と呼ばれる検査をします。
製品化する際のブレンド・充填時にも官能検査をしていて、同時に成分検査もします。
タンクごとに味が異なるので、この検査は非常に大切なステップです。
-他にはどんな役割の方がいる?
分析、菌数検査等安全安心に係る担当者はもちろん、仕込みや熟成、ラインのオペレーターや検査員など、製造全般に担当者がいます。
どの担当者も、お客さまに美味しい梅酒を届けたい!の一心で梅や梅酒と向き合っています。
-梅酒を熟成するタンクは、何本分の梅酒が取れるの?
“梅酒”と“梅酒のうめ”を合算した数量になりますが、タンク1基で一升瓶約55,000本です。
※一升瓶=1800ml
-大きすぎるタンク!どうやってかき混ぜているの?
こちらは企業秘密になりますが、チョーヤ独自の方法で攪拌(かくはん)しています。
管理担当者さんの本音
-品質管理担当者について
品質管理担当者は、ブレンダーや商品開発担当の設計した商品コンセプトに則り、原酒などの原材料や製品の検査・テイスティング、工程管理全般を担っています。
-志した理由は?
チョーヤという企業に魅力を感じたのは勿論ですが、大学などで学んだことを少しでも活かすことができる業種として品質管理につくことを志しました。
-品質管理担当者になるにはなにが必要?
なにか資格が必要!というわけではありません。
流れとしては、まず配属後1年~1年半程度かけて部門・セクションを問わず「梅酒づくり」そのものを工場内で学びます。
その後、品質管理担当として日々の業務につきつつ、更に研鑽を積むことになります。
テイスティングに関しては、上記を通じて連続的にトレーニングを行い、品種・産地・熟度などによる味わいの違いや官能表現の方法などを習得します。
一口に梅酒と言っても、多岐にわたる味わいがあることや担当者のキャラクターなどもあり、一概に何年勤めたら一人前になれるとは言えません。
梅のガク(ヘタ)取りは欠かせない!ガク取り担当者さんの本音
-ガク取りの1日最大個数は?
梅のサイズや種類によって異なりますが、1日最大約7000個です。
私は慣れているのでこの個数をさばけますが、一般的には5000-5500個かと思います。
入社時はピン(ガク取り用器具)の持ち方や力の入れ方がわからず、腱鞘炎になりかけました(笑)
-ガク取りは機械化しないの?
技術的には、実用化に至っていないだけで機械でも可能だと思います。
ただ、人の手で取っていることで、同時に人の目で品質チェックが行えることがメリットだと思っています。
-良い梅、悪い梅の見分け方を教えてください!
用途にもよりますが、チョーヤでは大粒でキズや傷みの無い「秀品」を中心に使用しています。
-梅の良し悪しをひと目で見分けるには、どのくらいの期間が必要?
梅の種類にもよりますが、大体3か月くらいだと思います。
-入社して良かったなぁと思うことは?
アットホームで楽しく働くことが出来る、素敵な職場だと思います。
-入社してびっくりしたことは?
今はすっかり慣れてしまいましたが、初めて工場内に入ったときは、熟成タンクの多さに圧倒されました。
-ガク取りとして入社しようと思ったきっかけ
自分のペースでコツコツと積み重ねる作業が好きで、このガク取りの仕事を選びました。
まとめ
「とどけ、梅のちから」というコーポレートスローガンのもと、”梅のちから”を拡めるため日々美味しい梅酒を生み出しているチョーヤ梅酒株式会社。
京都・鎌倉には、体験型梅酒づくりの施設である梅体験専門店「蝶矢」をオープンさせ、梅一粒から100通りもの梅酒・梅シロップづくり体験や梅のテイクアウトドリンクなど、梅の新たな価値を提供することで幅広い方々からの支持を得ることに成功しました。
また、梅体験専門店「蝶矢」では、コロナ禍でなかなかお出かけしにくい状況であるため、おうちで気軽に梅シロップが作れる蝶矢梅キットが販売されています。
店舗と同じように、梅の品種や砂糖が選べるようになっていて、LINEで梅コンシェルジュに相談することもできるので、そちらも利用してみてくださいね。