2021年10月7日

すっきり贅沢“京梅酒”が誕生した
伏見の「酒」と綾部の「梅」との出会い【招德酒造】

すっきり贅沢“京梅酒”が誕生した<br>伏見の「酒」と綾部の「梅」との出会い【招德酒造】

名水の地・京都伏見で「純米酒こそが清酒本来の姿」を合言葉に酒造りを続ける招德酒造です。
「招德」の由来は、禅語の「福以德招-福は德を以て招く-」から。
天然自然の恵みである酒造りを通して、先人たちの知恵と工夫の賜物をたくさんの方に届けようと日々精進しています。

今回は、1645年創業の招德酒造が手掛けた『京のにごり梅酒』の誕生秘話についてご紹介します。
伝統的な「純米酒」とみずみずしい「果実」の新しい出会いから生まれたこだわり梅酒を、梅酒時間ファンの皆さまにご賞味いただければ、これ幸いです。

梅酒の前に、創業400年近い酒造の歴史を語りたい

招德酒造のはじまりは、江戸時代の正保2年(1645年)。
京都洛中で木村家が酒造業をはじめたことにさかのぼる、今年で創業376年の歴史を持つ酒屋です。

酒どころとして有名な京都伏見の地に移ったのは、大正年代に入ってからのことです。
この場所で変わることなく追求しているのは、豊富な地下水に恵まれた銘醸地・伏見において、京都の歴史と文化に育まれた、柔らかで上品な味わいの酒造りです。

とにもかくにも「純米酒」へのこだわりは負けません

招德酒造のこだわりは、なんと言っても、「日本酒本来の姿としての純米酒」の普及と復活を目指す取り組みです。

今でこそ、アルコールを添加しない純米酒や純米吟醸酒は当たり前の存在になっていますが、招德酒造が取り組みをはじめた昭和40年代後半は、まったく状況が違いました。
その当時、純米酒造りを復活させることは、まさに異端。
業界内だけでなく、国税当局からも大きな反発があったと聞いています。

そんな逆境の中でも、志を共にする各地の蔵と手を携えて「純粋日本酒協会」を結成。
米と米麹だけで醸造する純米酒を地道に造り続けてきました。
それからもうすぐ半世紀が経ちますが、純米酒の認知と普及に少なからず貢献できたと、胸を張りたい思いでいます。

京都綾部の「米農場」から広がった「梅農家」との出会い

純米酒や純米吟醸酒の普及を目指す取り組みに加えて、招德酒造では、質の良い原料米を栽培する生産農家との直接的な連携を目指してきました。

今では、京都府北部綾部市の「丹波西山農場」などから、京都府独自品種の『祝』『京の輝き』『旭4号』などを仕入れ、酒造りに使い続けています。

また、心づよいパートナーとなった綾部市の農場へたびたび訪れるうちに、新しい出会いもありました。
もう10年以上も前のこと。
綾部市で「梅園」を開く準備をしている農家さんがあるとの話を耳にしたのです。

日本酒一筋だった招德酒造は、この梅農家さんとの出会いをきっかけに、自慢の純米酒をベースにした梅酒の開発に着手しはじめました。

純京都産の無添加ナチュラル梅酒『京のにごり梅酒』が誕生!

はじめての梅酒づくりは、試行錯誤の連続でした。
ただ、ここでもうれしい出会いがありました。
大阪の「梅酒屋」オーナー・上田久雄さんに出会い、梅酒開発のアドバイスをいただけたことで、念願の「京都梅酒」が誕生したんです。

京都の米と水を使った純米酒に、京都の梅を漬け込んだ『京のにごり梅酒』は、姉妹品の『京のにごりゆず酒』と同様に、無添加ナチュラルなお酒として、多くの方に楽しんでいただくことができています。

ショットでも、食中酒でも、お酒好きが楽しめる梅酒

『京のにごり梅酒』が目指したのは、「お酒好きがショットでも楽しめ、食中酒として楽しんでもらえること」でした。
ベースに純米酒の原酒を用いて、甘さを極力抑え、香料・酸味料などは一切なし。
そうすることで、理想の味を実現させました。

新しいお酒を生み出す原動力は、いくつもの出会いでした。
これからも招德酒造は、じっくり伝統を踏まえながら、新しい出会いを大切に、新しい挑戦を続けていきます。


招徳酒造
酒蔵を構えているのは、酒蔵が建ち並ぶ京都伏見。
古くから純米酒にこだわる酒蔵として知られている。
農業法人丹波西山などの農家と直接連携をとり、質の高い酒米を酒造りに使用している。